1分でわかる専任技術者のポイント
- 建設業の許可を取得するためには、許可を取りたい業種について資格または実務経験・学歴の要件を満たす専任技術者が必要です。
- 資格で要件を満たす場合は資格証があればOKです。
- 実務経験で要件を満たす場合は工事実績の分かる書類+その工事を行った事業所に在籍していたことが分かる書類が必要です。
- 一般建設業より特定建設業の方が専任技術者の要件が厳しいです。
- 役員や事業主の方ではなく従業員の方が要件を満たす場合でもOKです。
- 一人で複数の業種の要件を満たす場合複数の業種について専任技術者になることができます。
専任技術者になるための要件
専任技術者になるための要件には4つのポイントがあります。
- 専任技術者になるには資格または実務経験・学歴が必要となる
- 専任技術者は営業所に専任である必要があるため複数の営業所・会社の専任技術者になることができない
- 複数の業種に対応する資格・経験があれば複数の業種の専任技術者になることができる
- 役員ではない一般の従業員でも専任技術者になることができる
一般建設業と特定建設業では①の資格、実務経験、学歴の要件が異なりますのでそれぞれ解説します。
一般建設業の専任技術者になるための要件
下記のいずれかの要件を満たせば一般建設業の専任技術者になることができます。
①必要な資格をもっている
- 建設業法(技術検定)
- 建築士法
- 技術士法
- 職業能力開発促進法
などの法律に基づく資格で、許可を取りたい業種に対応した資格が必要となります。
また、資格・等級区分によっては数年の実務経験が必要なものもあります。
②許可を受ける業種について下記いずれかの実務経験がある
- 大学または高専の指定学科を卒業後3年以上の実務経験
- 高等学校の指定学科を卒業後5年以上の実務経験
- 10年以上の実務経験
実務経験では同一の期間で複数の業種の要件を満たすことができません。
つまり、学歴の要件なしで実務経験のみで2業種の要件を満たしたい場合は各業種10年ずつの合計20年の経験が必要です。
20年分の必要書類を完璧に集めることは非常に困難ですので実務経験では実質1業種しか証明できないと考えておくほうがよいです。

特定建設業の専任技術者になるための要件
下記のいずれかの要件を満たせば特定建設業の専任技術者になることができます。
①必要な資格をもっている
- 建設業法(技術検定)
- 建築士法
- 技術士法
- 職業能力開発促進法
など一般建設業と同様に各法律に基づく資格が必要となります。
ただし特定建設業の場合は一般建設業よりも高度な1級の資格などが必要になります。

②一般許可の専任技術者の要件を満たし、かつ指導監督的実務経験が2年以上ある
まず、一般許可の専任技術者になることができる資格、学歴+実務経験または実務経験が必要となります。
さらに、4,500万円以上の元請工事に関して建設工事の設計、施工など全般にわたって工事現場主任や現場監督者として総合的に指導監督した実績が必要となります。
特定建設業について指定建設業(※)の場合は②の要件は適用できず、①の資格によってのみ専任技術者となることができます。
※指定建設業とは:土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業の7業種
必要書類
- 許可を取得する事業者に常勤であることを示す書類
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- 健康保険被保険者証の写し
原則保険証の「事業所名」での確認となりますが、保険証に事業所名がない場合は
- 社会保険の標準報酬決定通知書の写し
- 住民税特別徴収税額通知書(特別徴収義務者用)の写し
- 確定申告書の写し
などの書類で常勤であることを証明します。
- 必要な資格を持つこと証明する書類
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- 合格証または免許証の写し
- 実務経験を証明する書類
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- 工事の契約書、注文書、請求書、内訳書など工事の実績を証明する書類(建設業許可のない業者での経験の場合)
- 建設業許可申請書様式第9号の「実務経験証明書」及び決算変更届様式第2号の「工事経歴書」(建設業許可のある業者での経験の場合)
- 保険証、(年金の)被保険者記録照会回答票、個人事業の確定申告書など経験期間の在籍を示す書類
経営業務の管理責任者との兼任
専任技術者は経営業務の管理責任者と兼任することができます。
ただし、経営業務の管理責任者は本店、本社などの主たる営業所に常勤しなければなりません。
よって主たる営業所の専任技術者にはなることができますが、支店などの従たる営業所の専任技術者になることはできません。

主任技術者・監理技術者との兼任
工事をする際には、現場に「主任技術者」または「監理技術者」という技術者を配置する必要があります。
専任技術者は原則営業所に専任であるため、現場の主任技術者・監理技術者も兼ねる場合は下記3つの要件を満たす必要があります。
- 専任技術者の所属する営業所において請負契約が締結された建設工事であること
- 工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接していること
- 当該営業所との間で常時連絡をとりうる体制にある
この3つの条件を満たす場合には現場に出ていても、営業所の専任技術者と認められることになります。
②のルールを考慮すると営業所から離れた地域での工事はできないことになります。
事業を拡大し、対応範囲を広げる場合には有資格者などの技術者を育成・雇用しなければなりません。
