建設業許可は個人事業でも取得できる?法人との違いは?

個人事業でも建設業許可を取得することができます。

建設業許可業者の内およそ16%は個人事業です。

行政書士橋本

このページを読んでいただくと
個人事業主の方が建設業許可を取得する前に
確認しておくべきポイントがわかります!

目次

法人と比べたメリット・デメリット

個人事業で許可を取得する場合、法人での許可取得と比べて以下のようなメリット・デメリットがあります。

個人事業で許可を取得するメリット

①法人化の費用がかからない

法人化をするには株式会社でおよそ20万円、合同会社でおよそ6万円の費用がかかります。

また、法人は法人住民税がかかり、税理士費用も個人事業より高額になるため毎年数十万円以上の運営費用がかかります。

個人事業であればこのような費用が必要ないということがメリットです。

②社会保険への加入をしなくてもよい

個人事業の場合従業員が4名以下であれば社会保険に入る必要がありません。

社会保険は事業者側の負担が大きいですので加入しないことで経費削減になります。

個人事業で許可を取得するデメリット

①信用度が低い

一般的に個人事業は法人に比べて簡単に事業を始められるため社会的な信用度が低いです。

個人事業者とは取引を行わないという業者もいます。

また、従業員を募集する際にも法人の方が信用度が高く集まりやすいといえます。

②経営経験の証明が難しい

建設業許可を取得するためには5年以上の建設業経営経験が必要となります。

個人事業の場合は5年分の確定申告書をもって経営経験を証明することになります。

法人ですと登記簿謄本を1通発行すれば5年分の経営経験が証明できるため個人事業の方が証明が難しいといえます。

個人事業で建設業許可を取得する際の要件

個人事業で建設業許可を取得する際の一般的な要件は以下の通りです。

  1. 建設業の経営経験が5年以上ある
  2. 許可を取得したい業種について必要な資格または実務経験がある
    →詳細は「建設業許可に必要な学歴・資格一覧」をご確認ください。
  3. 500万円以上の通帳残高がある
  4. 従業員がいる場合は適切な社会保険に加入している
  5. 不正行為や契約違反をしたことがない
  6. 欠格要件に該当しない

確定申告書がない場合

建設業の経営経験を示すために確定申告書の控えが最低5年分必要ですが、手元に控えがない場合はどうすればよいでしょうか。

そもそも手元に確定申告書の控えがない原因は2つ考えられます。

  1. 確定申告をしていない
  2. 申告はしたが紛失した

①確定申告をしていない場合

さかのぼって申請をおこないましょう。

②申告はしたが紛失した場合

税務署への開示請求をすれば再発行が可能です。

確定申告書再発行の手順
  1. 保有個人情報開示請求書を管轄税務署に郵送または直接提出する
  2. 30日以内に開示決定の通知が届く
  3. 保有個人情報の開示の実施方法等申出書を提出し再発行を受ける

なお、e-Taxで確定申告を行った場合は確定申告書のデータとe-Taxのメッセージボックスに届いた「受信通知」で証明することになります。

個人事業主一人で建設業の運営は可能?

結論個人事業主一人で建設業の運営を続けることは可能です。

ただし、工事をおこなうにあたって気を付けるべき点がありますので解説します。

まず、建設業の許可を取得するためには「経営業務の管理責任者」と「専任技術者」の要件を満たす必要があります。

この2つは兼任することができるため問題ありません。

つぎに、実際に工事をする際ですが、現場に「主任技術者」または「監理技術者」という技術者を配置する必要があります。

専任技術者の要件を満たせば現場の技術者の要件も満たしているため問題なさそうなのですが、

専任技術者は営業所に専任でなければなりません

つまり、営業所に専任技術者が1名、現場にも技術者が1名必要なのです。

このままでは一人で建設業を運営していくことはできません。

そこで営業所に専任でなければならないという条件を緩和するルールがあります。

  1. 当該営業所において請負契約が締結された建設工事であること
  2. 工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接していること
  3. 当該営業所との間で常時連絡をとりうる体制にある

この3つの条件を満たす場合には現場に出ていても、営業所の専任技術者と認められることになります。

②のルールを考慮すると営業所から離れた地域での工事はできないことになります。

いま一人親方で事業をされている方も、事業が拡大し、対応範囲が広くなる場合は有資格者などの技術者を雇用することを検討しなければなりません。

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