建設業許可の新規申請の必要書類一覧と再発行方法

建設業の許可申請には大量の書類が必要となります。

大きく分けて事業者様の現状を証明する「添付書類」と申請の際に新たに作成する「申請書類」があります。

添付書類については紛失してしまっていることもあるかもしれません。

このページでは必要な書類に加えて各書類の再発行が可能かどうか、可能な場合再発行方法について紹介します。

必要書類は申請先ごとに異なることが多いですので詳しくは申請先に確認してください。

行政書士橋本

一見必要書類が集まらなさそうな場合でも、代わりの書類で証明できる場合があります。
お困りの際はあきらめずに一度ご相談ください!

目次

添付書類について

添付書類は基本的に建設業者様の現状を証明する書類です。

行政書士に依頼する場合は一部の書類を行政書士が代理取得できます。

また、紛失された場合でも再発行可能な書類があります。

このページでは

  • 誰のどのような書類が必要なのか
  • 行政書士が代理で取得できるかどうか
  • 紛失した場合再発行できるかどうか、またその方法

について許可要件ごとに詳しく解説していきます。

建設業許可の要件について先に知りたい方はこちらのページをご確認ください。

添付書類一覧

  1. 常勤役員等(経営業務の管理責任者)証明書類
    • 健康保険証
    • 登記されていないことの証明書
    • 身分証明書
    • 確定申告書
    • 履歴事項証明書、閉鎖登記簿等(法人の場合)
    • 工事の契約書、請求書、注文書+請書、通帳など
    • 建設業許可申請書の控えなど
  2. 専任技術者証明書類
    • 健康保険証
    • 資格証
    • 学歴証明書
    • 工事の契約書、請求書、注文書+請書、通帳など
    • 建設業許可申請書の控えなど
  3. 各種保険加入状況証明書類
    • 健康保険証(国民健康保険の場合)
    • 健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書
    • 健康保険・厚生年金料領収書または納入証明書
    • 労働保険概算確定保険料申告書の写し+労働保険料の領収証書コピー
  4. 財産的基礎の要件証明書類
    • 残高証明書
    • 融資証明書
    • 確定申告書などの財務諸表
  5. 営業所に関する書類
    • 営業所の写真
    • 営業所の使用権原を証明する書類

常勤役員等(経営業務の管理責任者)証明書類

常勤役員等(経営業務の管理責任者)の要件では以下2点の両方を満たすことを書類で証明します。

  1. 十分な建設業の経営経験(5年以上)がある方が
  2. 許可を取得しようとする業者の個人事業主登記された支配人または法人の常勤役員である

①の十分な経営経験については建設業者における個人事業主や法人役員としての経験が5年以上あるという最も一般的な条件を想定しています。

これらの条件を満たす方について以下の書類を用意します。

健康保険証

誰の?・・・建設業の経営経験の要件を満たすとして申請する方

行政書士が代理取得・・・不可

再発行・・・加入している健康保険協会や役所で再発行可能

健康保険証の事業者名を確認することで②の要件の「常勤」であることを確認します。

事業者名に記載がないなど常勤性を確認できない場合は以下のような資料を代わりに用意します。

  • 健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書
  • 健康保険・厚生年金被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書
  • 法人税確定申告書の役員報酬明細
  • 賃金台帳、賃金支払明細書、所得税源泉徴収納付領収書
  • 出向の場合は、出向契約書、出向協定書
  • 住民税特別徴収義務者指定及び税額通知書

保険証の保険者番号や記号はマスキングして提出しなければなりません。

登記されていないことの証明書

誰の?・・・個人事業主、法人役員、支店・営業所の代表者全員

行政書士が代理取得・・・可能

取得方法・・・法務局で取得

個人事業主、法人役員、支店・営業所の代表者が「成年被後見人」および「成年被保佐人」に該当しないことの証明書です。

経営経験を満たす方以外も必要となる書類です。

顧問、相談役、主要株主については用意する必要はありません。

この証明書は全国の法務局本局(支店・出張所では扱っていません)で1通300円で発行します。

窓口で申請すれば当日10-20分で取得できます。

郵送申請の場合は「東京法務局後見登録課」へ申請します。1週間ほどかかります。

身分証明書

誰の?・・・個人事業主、法人役員、支店・営業所の代表者全員

行政書士が代理取得・・・可能

取得方法・・・本籍地の市区町村の役所で取得

個人事業主、法人役員、支店・営業所の代表者が「成年被後見人」および「成年被保佐人」とみなされず、

破産者で復権を得ないものにも該当しないことを証明する書類です。

経営経験を満たす方以外も必要となる書類です。

顧問、相談役、主要株主については用意する必要はありません。

運転免許証などの一般的な身分証明書ではないのでお気を付けください。

この証明書は本籍地(住所地ではないので注意)の市区町村の役所でおよそ1通300円ほどで取得できます。

外国籍の方は発行できませんので不要となるか、代わりに住民票の写しなどを求められます。

確定申告書

誰の?・・・経営経験の要件を満たす方が経営経験をつんだ法人、個人事業のもの

行政書士が代理取得・・・再発行は可能

再発行・・・税務署に開示請求をすることで可能

経営経験をつんだ法人、個人事業がきちんと営業していたことを確認するために確定申告書が必要となります。

経営経験をつんだ期間すべて、つまり原則5年分の確定申告書が必要となります。

書類申請の場合は税務署の受付印、電子申請の場合は税務署の受信通知が必要です。

基本的に保管されていると思いますが、万が一紛失されている場合税務署に開示請求をすれば再発行ができます。

開示請求は1件300円で2週間から1か月ほどかかります。

なお、法人の確定申告書は開示請求できません

顧問税理士が管理されているはずですのでご確認ください。

履歴事項証明書、閉鎖登記簿等(法人の場合)

誰の?・・・経営経験の要件を満たす方が経営経験をつんだ法人のもの

行政書士が代理取得・・・可能

取得方法・・・法務局で取得

法人で役員として経営していたことを証明するために履歴事項全部証明書(登記簿謄本)や閉鎖登記簿を提出します。

法務局でいつでも即日発行することができます。

工事の契約書、請求書、注文書+請書、通帳など

誰の?・・・経営経験の要件を満たす方が経営経験をつんだ法人、個人事業のもの

行政書士が代理取得・・・不可

再発行・・・不可

経営経験を積んだ法人、個人事業で建設業を営んでいたことを証明するために必要です。

これらの書類は再発行ができません。

建設業許可の取得を目指している方は必ず保管しておくようにしてください。

申請先ごとに必要な枚数が大きく異なりますので必ずあらかじめ確認してください。

建設業許可申請書の控えなど

誰の?・・・経営経験の要件を満たす方が経営経験をつんだ法人、個人事業のもの

行政書士が代理取得・・・申請書控えは不可(決算変更届は可能)

再発行・・・不可

経営経験をつんだ建設業者が建設業許可を取得している業者であった場合には

建設業許可申請書の控えや決算変更届などで許可業者において経営経験があることを証明できます。

許可申請書については副本があるはずですので確認してみてください。

専任技術者の証明書類

建設業許可を取得したい業種について一般許可の場合は以下のいずれかの条件を満たす「専任技術者」が必要です。

  1. 許可取得したい業種に関する資格を持っている
  2. 許可取得したい業種に関する学科を卒業+3~5年の実務経験がある
  3. 10年の実務経験がある

特定許可の場合は以下のいずれかの条件を満たす「専任技術者」が必要です。

  1. 許可取得したい業種に関する資格を持っている
  2. 一般許可の専任技術者要件を満たす+許可取得したい業種に関する2年以上の指導監督的実務経験がある

また、専任技術者は個人事業主や法人役員である必要はありませんが、「常勤」である必要があります。

これらの要件を満たすことを証明するために必要な書類について解説します。

健康保険証

誰の?・・・専任技術者になる方

行政書士が代理取得・・・不可

再発行・・・加入している健康保険協会や役所で再発行可能

健康保険証の事業者名を確認することで「常勤」であることを確認します。

事業者名に記載がないなど常勤性を確認できない場合は以下のような資料を代わりに用意します。

  • 健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書
  • 健康保険・厚生年金被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書
  • 法人税確定申告書の役員報酬明細
  • 賃金台帳、賃金支払明細書、所得税源泉徴収納付領収書
  • 出向の場合は、出向契約書、出向協定書
  • 住民税特別徴収義務者指定及び税額通知書

保険証の保険者番号や記号はマスキングして提出しなければなりません。

資格証

誰の?・・・専任技術者になる方

行政書士が代理取得・・・不可

再発行・・・資格によるがおそらく可能

専任技術者になるための資格を持っている場合は資格証で証明します。

業種ごとに資格が決まっています。また、特定許可は一般許可より難しい資格が必要になることが多いです。

どのような資格があれば許可を取得できるかはこちらのページをご確認ください。

学歴証明書

誰の?・・・専任技術者になる方

行政書士が代理取得・・・不可

再発行・・・学校によるがおそらく可能

専任技術者の要件を学歴+実務経験で証明する場合は学歴証明書が必要です。

業種ごとに決まっている「指定学科」を卒業しているかどうかを確認します。

指定学科に当てはまるかどうかは判断がつきにくいことが多いので、都度申請窓口に確認した方がよいです。

工事の契約書、請求書、注文書+請書、通帳など

誰の?・・・専任技術者になる方が実務経験をつんだ法人、個人事業のもの

行政書士が代理取得・・・不可

再発行・・・不可

専任技術者の要件を学歴+実務経験や実務経験のみで証明する場合は、

実際に行った工事内容を確認するために契約書などの書類が必要となります。

これらの書類は再発行ができません。

建設業許可の取得を目指している方は必ず保管しておくようにしてください。

申請先ごとに必要な枚数が大きく異なりますので必ずあらかじめ確認してください。

実務経験の必要年数

実務経験のみで要件を満たす場合:実務経験10年分

高校の指定学科を卒業の場合:実務経験5年分

高専、短大、大学の指定学科を卒業の場合:実務経験3年分

建設業許可申請書の控えなど

誰の?・・・専任技術者になる方が実務経験をつんだ法人、個人事業のもの

行政書士が代理取得・・・申請書控えは不可(決算変更届は可能)

再発行・・・不可

経営経験をつんだ建設業者が建設業許可を取得している業者であった場合には

建設業許可申請書の控えや決算変更届などで許可業者において経営経験があることを証明できます。

許可申請書については副本があるはずですので確認してみてください。

各種保険加入状況の証明書類

健康保険証

誰の?・・・個人事業主の方のもの

行政書士が代理取得・・・不可

再発行・・・役所で可能

個人事業で社会保険に加入していない場合は健康保険証で国民健康保険に加入していることを証明します。

保険証の保険者番号や記号はマスキングして提出しなければなりません。

健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書

誰の?・・・許可を取得する業者様のもの

行政書士が代理取得・・・再発行は可能

再発行・・・加入協会によるがおそらく可能

社会保険に加入して間もない事業者様で、まだ保険料の支払いが発生していない場合は標準報酬決定通知書により、

社会保険に加入していることを証明します。

もしすでに支払いが発生している場合は下の領収書や納入証明書で加入を証明します。

健康保険・厚生年金料領収書または納入証明書

誰の?・・・許可を取得する業者様のもの

行政書士が代理取得・・・再発行は可能

再発行・・・加入協会によるがおそらく可能

社会保険に加入してすでに支払いが発生している場合は許可申請直前の領収証書の写しにより加入状況を証明します。

紛失している場合は納入証明書の発行を加入協会に依頼できますが、直近のものですので必要ないでしょう。

労働保険概算確定保険料申告書の写し+労働保険料の領収証書コピー

誰の?・・・許可を取得する業者様のもの

行政書士が代理取得・・・不可

再発行・・・不可

6月~7月ごろに行う労働保険の年度更新で提出する労働保険概算確定保険料申告書と、

許可申請直前の領収証書を合わせて労働保険への加入状況を証明します。

申告の際の控え、領収証書ををなくさないようにしてください。

財産的基礎要件の証明書類

建設業許可を取得するためには十分な資金力が必要となります。

一般許可の場合は500万円以上の資金力があることが条件です。

特定許可の場合は以下の要件をすべて満たす必要があります。

  1. 資本金額が2,000万円以上かつ自己資本の額(純資産)が4,000万円以上あること
  2. 欠損比率が20%以内であること
  3. 流動比率が75%以上

これらの要件を満たすことを証明するための必要書類について解説します。

以下に示す書類のうちいずれかを用意すれば問題ありませんが、申請先によって認められている書類が異なります。

申請の際には手引きをよく確認してください。

残高証明書

誰の?・・・一般許可を取得する業者様のもの

行政書士が代理取得・・・不可

取得方法・・・金融機関で取得

一般許可の取得に必要な500万円以上の資金力を証明するために必要となります。

有効期限が1か月と短いですので、他の書類が集まるタイミングを考慮して取得してください。

融資証明書

誰の?・・・一般許可を取得する業者様のもの

行政書士が代理取得・・・不可

取得方法・・・金融機関で取得

残高証明ではなく融資証明でも資金力を証明できる場合があります。

ただし下記のような理由からあまり実用的ではありません。

  • 発行手数料が1万円ほどかかる
  • そもそも預金残高が500万円以上ないと発行してもらえないことがあり、残高証明書の方が現実的である
確定申告書などの財務諸表

誰の?・・・許可を取得する業者様のもの

行政書士が代理取得・・・再発行は可能

再発行・・・税務署に開示請求をすることで可能(個人のみ)

特定許可の要件を満たすことを証明するためには直前の決算期の財務諸表が必要となります。

一般許可の要件を満たすことを証明するために財務諸表を使用できる場合もあります。

一般許可の場合は自己資本の額が500万円以上であればOKとなることが多いです。

営業所に関する書類

営業所の写真

すべての営業所について営業所の実態があるかどうか写真により確認します。

  • 外観
  • 事務所内部
  • 看板

などの写真を撮って提出します。

どのような写真が必要か申請先により異なるためあらかじめ確認しておいてください。

営業所の使用権原を証明する書類

すべての営業所について使用できる権利があることを証明する資料が必要となります。

自己所有の場合、賃貸の場合で必要な書類が異なります。

自己所有の場合

  • 不動産の登記簿謄本
  • 固定資産評価証明書
  • 固定資産税納税証明書

のいずれかで営業所として使用できることを証明します。

賃貸の場合

  • 賃貸借契約書
  • 使用貸借契約書
  • 使用承諾書
  • 賃借料領収証書

などで営業所として使用できることを証明します。

申請書類について

申請書類の作成は枚数が非常に多く書き方のルールが複雑であるため行政書士に作成を依頼することが多いです。

ご自身で作成される場合は申請先の手引きをよく読んで作成する必要があります。

枚数が非常に多く、手引きを読むのにもかなりの時間がかかりますので行政書士への依頼を積極的にご検討ください。

申請書類一覧

  1. 建設業許可申請書
  2. 役員等の一覧表
  3. 営業所一覧表
  4. 収入印紙等貼り付け用紙
  5. 専任技術者一覧表
  6. 工事経歴書
  7. 直前3年の各事業年度における工事施工金額
  8. 使用人数
  9. 誓約書
  10. 常勤役員等(経営業務の管理責任者)を証明する書類
    • 常勤役員等証明書
    • 常勤役員等略歴書
    • 常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書
    • 常勤役員等を補佐する者の証明書
  11. 健康保険等の加入状況
  12. 専任技術者を証明する書類
    • 資格証の写し
    • 卒業証明書の原本または写し
    • 実務経験証明書
    • 指導監督的実務経験証明書
  13. 建設業法施工令第3条に規定する使用人の一覧
  14. 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書
  15. 建設業法施工令第3条に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書
  16. 株主(出資者)調書
  17. 貸借対照表
  18. 損益計算書
  19. 完成工事原価報告書(法人のみ)
  20. 株主資本等変動計算書(法人のみ)
  21. 注記表(法人のみ)
  22. 附属明細表(法人のみ)
  23. 営業の沿革
  24. 所属建設業団体
  25. 主要取引金融機関名
  26. 営業所概要書
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