経営事項審査ではX1、X2、Y、Z、Wの各点数を計算し総合評定値P点が算出されます。
このページでは完成工事高(X1)、自己資本額および平均利益額(X2)の項目について解説します。
X1は業種ごとにつけられる点数、X2は全業種共通でつけられる点数となります。
このページを読んでいただくと
X1点、X2点それぞれの計算方法と点数アップ対策方法がわかります。
2つ合わせて全体の40%を占める非常に重要な項目ですのでぜひ最後までお読みください!
完成工事高(X1)について
完成工事高(X1)は業種ごとの売上高を評価し、点数がつきます。
総合評定値(P点)の25%を占める項目であり、最も比重が高い項目です。
完成工事高評点(X1)の計算方法
完成工事高は直近の2年間の平均で計算するか3年間の平均で計算するか選ぶことができます。
- 業種ごとに2年、3年を選択することはできず統一となります
- 元請完成工事高(Z点)も同じ年数で計算します。
一般的には最も点数を上げたい業種について2年、3年のどちらが良いか検討し決定します。
具体的に目標とする総合評定値・ランクを決めている場合はその目標に合わせて決定するのがよいです。
完成工事高の評点は非常に複雑な算出式により計算します。
詳細は「完成工事高評点の算出式」を確認してください。
例:平均完成工事高が8千万円の場合
22×80,000(千円)÷20,000+601=689点 となります。
※表の(年間平均工事高)には年間平均完成工事高を1,000で割って小数点以下を切り捨てた数字が入ります。
完成工事高評点(X1)の点数アップ対策
- ①積上げを活用する
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建設業には29業種ありますが、一部の経営事項審査を受けない業種の売上を別の経営事項審査を受けたい業種の売上に合算することができます。
この制度を「積上げ」といいます。積上げにはいくつかの条件があります。
例えば業種Aの売上を業種Bの売上として合算する場合
- 業種Aについて経営事項審査を受けることはできません
- 業種Aの全額を業種Bに合算する必要があります(業種Aの一部のみを合算することはできません)
- 業種Aの売上高を分割して業種B以外の業種にも振り分けることはできません
- 業種A・B共に建設業許可を取得している必要があります。
(近畿地方整備局の例)
振替元の工事の売上高は同じ番号の振替先の工事の売上高に合算することができます。
振替元の工事→振替先の工事※積上げできる業種は各自治体ごとに判断が異なりますので事前に確認が必要です。
- ②工事進行基準で計算する
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売上高の計算方法は主に「工事完成基準」「工事進行基準」があります。
工事完成基準の場合・・・施工検査、引き渡しが決算日までに完了していなければその工事の売上高は0となる
工事進行基準の場合・・・決算日までに完了している部分について売上高として計上できる
工事進行基準は計算が手間ではありますが非常に合理的な計算方法です。
工事完成基準よりも売上高の落差が少なく毎年安定した売上高となりますのでぜひご検討ください。
- ③兼業事業売上高の中に完成工事高に組み込める売上がないか確認する
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建設資材や設備を販売する際に、設置工事も行う場合はその売上高を完成工事高に計上する必要があります。
建設資材や設備の費用の方が高額であってもそれらは完成工事高の材料費となります。
自己資本額および平均利益額(X2)について
自己資本額および平均利益額(X2)は「自己資本額」および「平均利益額(※)」を評価し、点数がつきます。
総合評定値(P点)の15%を占める項目であり、売上だけでなく利益を追求した経営を求められます。
※平均利益額とは:直近2年の「営業利益+減価償却費」の平均額
自己資本額および平均利益額(X2)の計算方法
自己資本額=貸借対照表の純資産額(資産総額-負債総額)です。
今期の自己資本額で計算するか前期の自己資本額と平均するか選ぶことができます。
平均利益額については2年分の平均で固定であるため選ぶことはできません。
自己資本額、平均利益額どちらも複雑な算出式により計算します。
をそれぞれご確認ください。
表の(自己資本額)(平均利益額)にはそれぞれ千円単位の金額が入ります。(千円未満切捨て)
マイナスとなる場合は「0円」として計算します。
自己資本額および平均利益額(X2)の点数アップ対策
- ①利益を積み立てる
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利益を積み立てることで自己資本額、平均利益額ともにプラスになります。
口で言うのは簡単ですが、、、価格設定・材料費や外注費の適正化・経費削減など普段意識されていることを徹底してください。
- ②増資を行う
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個人資産に余裕がある場合は増資をすることで自己資本額にプラスの影響があります。
即効性がある対策です。
- ③節税にこだわりすぎない
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決算直前になって節税のために不要な設備投資などを行うと自己資本額、平均利益額にマイナスの影響があります。
適正な税金を払って利益を積み立てることで評点が上がるだけでなく融資を受ける際にもプラス評価となります。
ただし、設備の減価償却費も平均利益額に含まれるため必要な設備投資は積極的に行っても問題ありません。