経営事項審査W点の計算方法と点数アップ対策を解説!

経営事項審査ではX1、X2、Y、Z、Wの各点数を計算し総合評定値P点が算出されます。

このページではその他の審査項目(社会性等)(W点)の計算方法と点数アップ対策を解説します。

行政書士橋本

W点には即点数に反映される項目や、対応していないと致命的な減点を受ける項目があるのでぜひ最後までお読みください!

目次

労働福祉の状況(W1)

「労働福祉の状況」の項目では以下の制度に加入しているかどうかを審査されます。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 建設業退職金共済制度
  • 退職一時金もしくは企業年金制度
  • 法定外労働災害補償制度

労働福祉の状況(W1)の配点

健康保険、厚生年金保険、雇用保険に加入していない場合

それぞれ-40点(P点換算で-57点)

建設業退職金共済制度、退職一時金もしくは企業年金制度、法定外労働災害補償制度に加入している場合

それぞれ+15点(P点換算で+21点)

労働福祉の状況(W1)の得点アップ対策

健康保険について
  • 法人
  • 個人事業で常用の従業員が5人以上

の場合には協会けんぽや健康保険組合などの社会保険の健康保険に原則加入しなければなりません。

建設国保への加入でも問題ありません。

厚生年金保険について
  • 法人
  • 個人事業で常用の従業員が5人以上

の場合には厚生年金保険に必ず加入しなければなりません。

雇用保険について

従業員が1名以上いる場合は必ず雇用保険に加入しなければなりません。

一人親方や、役員のみで従業員のいない法人は加入の義務がありません。

建設業退職金共済制度について

元請工事を行う場合は制度に加入しているだけではなく、掛金を納付していなければなりません。

退職一時金または企業年金制度について

退職一時金は建設業に従事するすべての従業員を対象としたものでなければなりません。

退職一時金とは退職金としてまとまった金額を支給するもので、企業年金制度は年金の形式で支給されるものをいいます。

法定外労働災害補償制度について

通常の労災保険に上乗せで労災補償をする制度に加入していると加点となります。

そもそもの労災保険に加入していなければ加点されません。

建設業の営業継続の状況(W2)

「建設業の営業継続の状況」の項目では建設業許可を受けてから何年間営業を継続しているか審査されます。

民事再生、または会社更生を受けてしまうとその期間中は減点があり、手続き終了後は営業年数が0にリセットされます。

建設業の営業継続の状況(W2)の配点

建設業許可取得日~審査基準日までの年数で1年未満は切り捨てです。

営業年数点数P点換算点数
35年以上6086
34年5883
33年5680
32年5477
31年5274
30年5071
29年4868
28年4666
27年4463
26年4260
25年4057
24年3854
23年3651
22年3448
21年3246
20年3043
19年2840
18年2637
17年2434
16年2231
15年2029
14年1826
13年1623
12年1420
11年1217
10年1014
9年811
8年69
7年46
6年23
5年以下00
民事再生法または会社更生法の適用がある場合

-60点(P点換算-86点)

民事再生法または会社更生法の適用がない場合

±0点

建設業の営業継続の状況(W2)の得点アップ対策

地道に営業を続けるしかありません。

個人事業から法人成りする場合は以下の条件を満たせば営業年数を引き継ぐことができます。

  • 個人事業を廃業すること
  • 個人事業主が設立する法人の代表かつ50%以上の出資者であること
  • 個人事業主が設立する法人での経営業務管理責任者となること
  • 個人事業での建設業許可が有効な間に設立する法人での許可を取得すること

防災活動への貢献の状況(W3)

「防災活動への貢献の状況」では申請者が官公庁と防災協定を締結しているかどうか審査されます。

直接契約をしていなくとも、防災協定を締結している建設業団体へ加入し、防災活動に一定の役割を果たすことが確認できれば問題ありません。

防災活動への貢献の状況(W3)の配点

防災協定を締結している場合

20点(P点換算28点)

防災協定を締結していない場合

±0点

防災活動への貢献の状況(W3)の得点アップ対策

防災協定を締結している建設業者団体に加入する方法が一般的です。

法令遵守の状況(W4)

「法令遵守の状況」では審査年度中に指示処分や営業停止処分を受けていないか審査する項目です。

法令遵守の状況(W4)の配点

指示処分、営業停止処分のどちらも受けていない

±0点

指示処分を受けた

-15点(P点換算-21点)

営業の全部停止または一部停止処分を受けた

-30点(P点換算-43点)

法令遵守の状況(W4)の得点アップ対策

法令遵守を意識した経営を行ってください。

処分を受けた場合は正直に申告してください。

処分を受けたにもかかわらず申告しない場合は虚偽申請となり、許可取消処分を受ける可能性があります。

建設業の経理の状況(W5)

「建設業の経理の状況」は監査の受審状況」「公認会計士等の数を審査する項目です。

社内に経理に関する資格者が必要となりますので難易度の高い項目となります。

建設業の経理の状況(W5)の配点

監査の受審状況について

会計監査人の設置

20点(P点換算28点)

会計監査人になることができるのは監査法人、公認会計士のみです

会計参与の設置

10点(P点換算14点)

会計参与は法人の役員の一種です。

税理士、税理士法人、公認会計士、監査法人がなることができます。

経理処理の適正を確認した旨の書類の提出

2点(P点換算3点)

社内の公認会計士、税理士または登録経理講習を受講した1級建設業経理士が確認し署名を行う必要があります。

公認会計士等の数について

STEP
公認会計士等の数に応じたポイントを計算する

公認会計士、税理士、登録経理講習を受講した1級建設業経理士・・・1ポイント

登録経理講習を受講した2級建設業経理士・・・0.4ポイント

STEP
STEP1で計算したポイントを点数表に当てはめて計算する
公認会計士等の数の点数計算表

建設業の経理の状況(W5)の得点アップ対策

  • 会計監査人、会計参与を設置する
  • 建設業経理士の資格取得を促す
  • 自主監査を行う

特に売上1億円未満の場合は2級建設業経理士が1名いれば公認会計士等の数は満点になります。

会社の規模次第ではコスパ良く点数を獲得できます。

研究開発の状況(W6)

「研究開発の状況」は2年平均の研究開発費の額を審査する項目です。

ただし、この項目は会計監査人設置会社のみ評価対象となりますので、該当しない事業者様も多いです。

研究開発の状況(W6)の配点

研究開発費点数P点換算点数
100億円以上2536
75億円以上100億円未満2434
50億円以上75億円未満2333
30億円以上50億円未満2231
20億円以上30億円未満2130
19億円以上20億円未満2029
18億円以上19億円未満1927
17億円以上18億円未満1826
16億円以上17億円未満1724
15億円以上16億円未満1623
14億円以上15億円未満1521
13億円以上14億円未満1420
12億円以上13億円未満1319
11億円以上12億円未満1217
10億円以上11億円未満1116
9億円以上10億円未満1014
8億円以上9億円未満913
7億円以上8億円未満811
6億円以上7億円未満710
5億円以上6億円未満69
4億円以上5億円未満57
3億円以上4億円未満46
2億円以上3億円未満34
1億円以上2億円未満23
5,000万円以上1億円未満11
5,000万円未満00

建設機械の保有状況(W7)

「建設機械の保有状況」は自社で保有する建設機械の台数を審査する項目です。

1年7か月以上の使用期間が定められているリース契約を締結している建設機械の台数も含みます。

建設機械の保有状況(W7)の配点

台数点数P点換算点数
15台以上1521
14台1521
13台1420
12台1420
11台1319
10台1319
9台1217
8台1217
7台1116
6台1014
5台913
4台811
3台710
2台69
1台57
0台00

建設機械の保有状況(W7)の得点アップ対策

以下の建設機械を所有しているまたは使用期間1年7か月以上のリース契約を締結していることで点数アップになります。

ショベル系掘削機

ショベル、バックホウ、ドラグライン、クラムシェル、クレーンまたはパイルドライバーのアタッチメントを有するもの

ブルドーザー

自重が3トン以上のもの

トラクターショベル

バケット容量が0.4立方メートル以上のもの

移動式クレーン

つり上げ荷重3トン以上のもの

大型ダンプ車
  • 車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上のもの
  • 事業の種類として建設業を届け出ており、表示番号の指定を受けているもの

の2つの条件を満たす必要があります。

モーターグレーダー

自重5トン以上のもの

国際標準化機構が定めた規格による登録の状況(W8)

「国際標準化機構が定めた規格による登録の状況」は国際標準化機構第9001号(ISO9001)または第14001号(ISO14001)の登録を受けているかどうか審査する項目です。

認証範囲に建設業が含まれており、すべての営業所について認証されている必要があります。

国際標準化機構が定めた規格による登録の状況(W8)の配点

ISO9001およびISO14001の登録

10点(P点換算14点)

ISO9001の登録

5点(P点換算7点)

ISO14001の登録

5点(P点換算7点)

若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況(W9)

「若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況」は35歳未満の技術職員がどれだけいるかまたは増えたかを審査する項目です。

若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況(W9)の配点

満35歳未満の人数が技術職員名簿全体の15%以上

1点(P点換算1点)

審査対象事業年度に新たに記載された満35歳未満の技術職員が技術職員名簿全体の1%以上

1点(P点換算1点)

知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W10)

「知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況」は技術者および技能者の技術向上に関する取組を審査する項目です。

技術者の取組とは

技術者とは専任技術者になることができる者補のことを指します。

技術者はCPD単位をどれだけ取得したかで取組を評価します。

技能者の取組とは

技能者とは審査基準日以前3年間で工事に従事したことのある技能者(管理業務のみに従事する者を除く)を指します。

技能者はCCUSで技能レベルが向上したかどうかで取組を評価します。

知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況(W10)の配点

STEP
技術者ごとの取得単位数を計算する

CPD単位は同じ1単位でも学習量や難易度が異なるため下記の計算式によって調整を行います。

技術者取得単位計算式

換算係数はCPD付与団体ごとに異なります。「告示別表18」を確認してください。

技術者ごとに計算式に当てはめて取得単位を計算します。

一人当たりの換算後の取得単位の上限は30単位です。

STEP
技術者点を計算する

一人当たりの取得単位を計算し、点数表に当てはめることで技術者点を計算します。

技術者点計算式
技術者一人当たりの取得単位数技術者点
3010
27以上30未満9
24以上27未満8
21以上24未満7
18以上21未満6
15以上18未満5
12以上15未満4
9以上12未満3
6以上9未満2
3以上6未満1
3未満0
STEP
技能者点を計算する

審査基準日から3年以内に技能者レベルが1以上アップした技能者の比率を計算し、点数表に当てはめることで技能者点を計算します。

技能者点計算式
レベルアップした技能者比率技能者点
15%以上10
13.5%以上15%未満9
12%以上13.5%未満8
10.5%以上12%未満7
9%以上10.5%未満6
7.5%以上9%未満5
6%以上7.5%未満4
4.5%以上6%未満3
3%以上4.5%未満2
1.5%以上3%未満1
1.5%未満0
STEP
技術者点と技能者点を合算しW10の点数を計算する

下記の計算式で技術者点と技能者点を合算し、点数表に当てはめることでW10の点数を計算します。

技術者点と技能者点の合算式
合算した結果点数(W10)P点換算
101014
9以上10未満913
8以上9未満811
7以上8未満710
6以上7未満69
5以上6未満57
4以上5未満46
3以上4未満34
2以上3未満23
1以上2未満11
1未満00
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